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過去/未来 ふたつの“戦後”を繋ぐ探偵ファンタジー―『UN-GO episode:0 因果論』 ―

『UN-GO episode:0 因果論』 監督 水島精二

UN-GO_EP0_チラシ
 もう1月も終わり。
 そろそろ昨年のやり残しもいいかげん間が抜けてきた…。
 これで打ち止め(笑)。

 『ダンタリアンの書架』と並び、昨年のアニメで割とお気に入りだったのが『UN-GO(アンゴ)』。
 深夜に2枠でアニメを放映している「ノイタミナ(NOITAMINA)」は割と映像、脚本ともにクオリティの高いものが多く、とりあえずチェックしている。(『四畳半神話体系』もここだったか)

 坂口安吾の『明治開化 安吾捕物帳』』、『復員殺人事件』などが原案、それだけでも面白そうだと思ったら、舞台は近未来、不思議な登場人物も交えて、ほとんど換骨奪胎して、独自の世界を造り出している。

 近未来の日本、“終戦”を迎えた東京では、為政者による思想・倫理統制の厳しい中、膨大な情報と優秀な頭脳を活かし、メディア王として君臨、政財界に強いコネクションを持った海勝麟六が、未解決事件を解明してさらにその名を馳せていた。
 すでに流行らなくなった「探偵」を敢えて名乗り、その海勝の推理の裏と欺瞞を暴くことを目的とした結城新十郎が、人ならぬ相棒「因果」とともに事件の推理で対決していく。「最後の名探偵」と自称し、周囲からは「敗戦探偵」と揶揄を含めて呼ばれながらも、さまざまな謎に挑み、海勝の正体へと肉薄してく。

 因果は、普段はパンダの衣装とメイクをした傍若無人で生意気な少年として新十郎につき従っているが、事件の核心に迫った時、その姿は妖艶な美女に変身、彼女に見つめられて問われると、人は人生で一度だけ、どうしてもその質問に答えざるを得なくなる。

 因果は、そもそも形のない霊のようなもの。実は人の命と共にその“御霊”を奪う生命体だったが、どうやら新十郎とは、どこかで彼の命を救うことと引き換えに、人を殺さない代わりに好きなだけ御霊を与えるという契約を交わして側にいることになったらしい。

 やや気弱な雰囲気に抜け目のなさを漂わせた海勝、その娘で父を愛しながらもその得体の知れなさに反発し、新十郎に近づいていく梨絵、海勝を敬愛する検察庁連合調整部の女検事虎山、倫理問題により禁制となった人工知性RAI(RealAI)の最後のひとつ風守、そして言霊を現実にする力をもった少女の姿の別天王など、先進科学と、それでは解明しきれない怪異とが、程よくブレンドされながら、ひとつひとつの事件が解明されていくにつれて、大きな連鎖を引き起こしてく。

 どうも一度観ただけでは未消化な部分が残っているのだが(汗)、オープニングの映像処理もかっこよく、第二次譚戦後を思わせるレトロ感と、独立した自我をもつAIが造りだされるような近未来とがなんとも不思議な空気を湛え、底辺に流れる安吾の雰囲気も壊すことなく、大人で、余白のある造りで楽しませくれた。
 因果が、御霊のうずきに耐えきれず、大人になって、「おしえて。」と謎の鍵に迫るシーンが、その肢体、声優ともに色っぽくて毎回楽しみで…(笑)。

 で、年末ギリギリに、TV版の最終回でちらりと示唆された、新十郎と因果との出会いを描いた劇場版『episode:0』のアンコール上映を観に行った。
 
 こちらはTVアニメよりも2年ほど前、未開発地域に映画を届けるという、夢と理想を抱いて始めた事業が失敗、無為に紛争地域で過ごしていた新十郎の元に、歌で世界を救いたい、というNPOの人間がガイドを依頼してくる。その理想論に彩られた活動グループに、自身の過去の経験から、痛みと羨望を抱えて、投げやりな反発を見せていた新十郎だが、まっすぐに彼を見つめる倉田由子に少しずつ心惹かれてもいた。
 ある時、彼らとジープで走っている時に反政府軍の攻撃を受け、メンバー全員が死亡。なぜか新十郎だけが生き残る――。

 新十郎が帰国した東京では「別天王会」という新興宗教が“ヤミヨセ”の儀式を行っていた時に、白い獣により信者が大量虐殺される、という事件が起こっていた。
 この教祖が、かつて死んだはずのNPOのメンバーである可能性が出てきたとき、新十郎は過去を清算するために、この事件の謎を解くことを決意した。
 明かされる紛争地域での事故の真相、そして教祖の正体、白い獣とは…?

 50分程度の短編ではあるが、心機一転して探偵として人生をやり直す決意をする新十郎の姿がTVシリーズにつながっていくように造られている。個人的には因果との出会いとその「契約」のシーンがもう少し厚く描かれているとよかったな、と思うものの、別天王の力によって書き換えられていく「現実」とそれまでの現実とがクロスしていくあたりは、なかなか壮大な幻想と論理が活かされていて、『因果論』のタイトルにふさわしいか。

 映像が美しいのと、 気恥ずかしくなるような“懐メロ”がうまく挿入され、「近未来の過去」といった捻じれた時空の感じをうまく引き継いでいる。

 TV版の方では一応ひとつの結末を迎えたものの、海勝と新十郎との対決は決着がついていないし、まだまだ因果と新十郎との関係を追いたくなる余韻で終わっている。
 
 劇場版でも、TV版でもよいので、もう少し、「その後の“敗戦探偵”」で、もう一度、あの古くて新しい不思議な空気を感じてみたいものだ。

 『明治開化 安吾捕物帳』、昔に読んだ気がするのだが、例ごとく乱読でほとんど記憶にない(汗)。
 こちらも再読したいと思っている。






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