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美しく緊張感に深化するインターミッション ~『マルドゥック・スクランブル 燃焼』~

『マルドゥック・スクランブル 燃焼』 監督 工藤進

Mardock_Scranble_2チラシ
 一年先なんて長すぎる!と思っていた期待の続編、思ったよりも早くに公開の感強く、「光陰矢のごとし」を改めて恐ろしくかみしめる(汗)。

 復習を兼ねて前週にブルーレイの『マルドゥック・スクランブル 圧縮』完全版を観直しに(あまりやらないのだけれど、これはつい…;笑)行き、そのまま『燃焼』に突入。
 相変わらず上映館は少なめ(泣)、改善は川崎チネチッタの画質・音声のよい会場に一か所が移ってくれたことか。

 第2章は、強力な武器に変貌するウフコックとの共闘の快感に暴走し、彼を濫用してしまったバロットの後悔と謝罪、ボイルドの襲撃を逃れ、傷ついたウフコックを治療するために立ち寄った「楽園」でのトゥイードルディとトゥイードルディム、3博士のひとりフェイスマンとの出会いと、彼らの過去を知ることで、バロットが自身の存在を懸けてシェルと闘うことを決心していく過程と、そのための決定的な証拠であるシェルの記憶媒体を奪うため、カジノに乗り込み、ウフコックの演算とバロットの天性の感覚によって勝負を挑んでいく過程が描かれている。
 ルーレットのコーナーで出会うディーラー、ベル・ウィングとバロットとの心を通じ合っての真剣勝負のやり取りが心理的な緊張を伴って、カジノのスリルを満喫できる章。

 相変わらず映像の美しさは文句なし。
 虹色に輝く楽園の描写は、いまひとつ全体構造がよく分からないままだが、人工的に創られた「海」の不思議な三次元空間の造形には圧倒される。
 
 ちらりと挿入される、ボイルドとウフコックとの研究所での初めての出会いのシーン(ボイルド短髪!きゃー!)は切なく、愛おしく、さらに予定されているという『べロシティ』の映像化への期待が高まるし(ぜひ実現してほしい、それも早めに!)、ボイルドがウフコックに執着するその狂気に近い感情がより鮮明になる。

 また、ウフコックの動画のクオリティはますますリアルに、ネズミ的な体の震え、金色の毛並みと尻尾の動きが、落ち着いた語り(“煮え切らない”割にはかなり成熟しているのだけれど)と自然に溶け合って、本当にこんなネズミが(バロットでなくても)欲しい!と思わされる愛らしさだ。

 音楽もより荘厳で美しさを増している。1章の「アメージング・グレイス」よりも、今回の「アヴェ・マリア」の方が、バロットに合っているし。(この「アヴェ・マリア」はすばらしい)

 ただ、ちょっと感じたのが、とても男性の“萌え”を狙った造りに傾斜してきたな、ということ。
 わがままだけれど切実で意思の強いバロット、必死にウフコックを繋ぎとめようとする可愛らしさはもちろん、今回やたらと彼女の裸体の映像が多い(長い?)。そこまで多くなくても物語の進行にはなんら支障をきたさないのでは…?と感じる。
 少女であり、またその色気で訴えるキャラクターではないので、そこに過剰なエロスはなく、肢体も美しい造形なのだが、だからこそなおさらに、過剰ともいえるこのシーンが気になった。
 この分をもう少し後半のカジノにおけるベルとの対話や闘いのシーンに割いてもよかったのではないかな、と。

 まあ、『圧縮』完全版でも、追加されたシーンは、主に娼婦として消費されてきたバロットの情景だった(彼女の過去は分かりやすいが、これまたちょっと不要に多すぎる感あり)ので、その男性視線はそもそもともいえるのかも知れないが。
 原作よりもよりバロットの可憐さと一途さが際立つ造りになっていると思う。

 カジノシーンの彼女の衣装と髪型はとても美しい。やはりストレート長髪の方がイメージだなあ。
 そしてイースター博士、カッコ良いのだけれど、これまたやっぱりちょっと紳士すぎるか(笑)。
 果たしてそのからくりと演算、舞台の緊迫感をどう映像に映しとるのか、興味のあったカジノシーンは、画面分割と浮き上がる数字の羅列でスマートにまとまっている。

 ストーリーは前作同様基本的に原作に忠実、あの内容を70分ほどにまとめ上げていることには相変わらず感嘆だ。

 『圧縮』が、スピード感あふれるジェット・コースター的な導入とすれば、この2章『燃焼』は、インターミッション的な静けさで、バロットの内面の深化や、カジノにおける心理的な闘いの緊迫感を表しているといえる。(ま、ボイルドとの闘いなので、血みどろシーンもあるけれど)

 そのため、この章単独ではやや単調な流れにも思えるが、この後のボイルドとの最終決戦の激しさを思った時、この静けさが非常に精巧に組まれていることを感じさせる。
 3章までの完結、210分ほどの大作としての概観を思うと、絶妙な緩急を構成するのが見えてきて、その完成度の高さにちょっと鳥肌がたった。

 なんの不安もなく最終章『排気』、期待度大だ。

 しかしまた一年待つのか…。
 あっという間になるのだけれど、長いなぁ…。

 関連:“存在意義”をめぐるSFエンタメ ―『マルドゥック・スクランブル 圧縮/燃焼/排気』―
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